ドル/円相場は、94~96円のレンジで揉み合う展開になっている。18日以降はキプロス情勢に一喜一憂する展開となり、明確な方向性を打ち出せていない。この問題が解決しなければ欧州全体の金融不安に発展する可能性がある一方、実際に欧州リスクが本格的に蒸し返されるリスクは低いとの見方から、様子見ムードが広がっている。ただ、週明けのアジアタイム入り直後にキプロス支援問題でキプロス政府と欧州連合(EU)当局者が合意に達したとの報道が流れていることで、足元ではややドル買い・円売り優勢の展開に回帰しつつある。
キプロス情勢については今後の続報待ちだが、本稿執筆時点(25日09:30)でのヘッドラインによると、キプロス政府とトロイカが暫定合意に至った模様だ。まだ正式な発表は行われていないが、キプロス大手銀2行の処遇を巡ってキプロス政府が銀行システム縮小要求を受け入れた可能性が高い。現在は、ユーロ圏財務相会合で合意内容を正式に承認するかを検討している段階だが、このまま無事に合意に達することができれば、「リスク回避の円高」というフローは一服することになるだろう。改めてドル/円のファンダメンタルズが見直されることで、ドル買い・円売りフローが再開する見通し。
もっとも、目先は特に重要なイベント等は見当たらず、それ程大きな値動きは想定できない。来週の日銀金融政策決定会合待ちのムードが強く、当面はキプロス情勢を受けての円高圧力を修正するレベルに留まるだろう。95円割れの現状は改めてドル買い・円売りを仕掛ける好機とみているが、日米金利差が再び拡大する動きと連動して、緩やかなペースでドル高・円安トレンドへの回帰を想定している。
今後1週間の予想レンジは、94.00~96.00円。